僕の描き文字 平野甲賀
装丁稼業40余年。笑い踊る描き文字は本とデザインの自由を歓ぶ。好きな本のことから対談まで、クラフトマンの独りごと、生活と意見がつまった初エッセイ集。
「描き文字の効用については、いままでいろいろ考えてきた。タイトルや題目のフレーズはじつに雄弁なものだし、僕はただその論旨にそって、ときには助長したりして、文字を描いていればいい。だが、文字が指し示すあらゆる事柄には、その形にいたる理由や意図が見えかくれしている。だからその形には描き手の生活と意見がいやおうなく反映される。受け入れ難いものやうんざりするほど馴染みすぎた形。どうしても形のとれない文字や描く気になれない文字……。と産みの苦しみをさんざん味わいながら、そうしたことをそっくり引き受けるのが描き文字師の当然の役割だし、腕の見せどころだろうと気をとり直すこともある」(本文より)
僕の描き文字
- 作者: 平野 甲賀
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2007/05/19
- メディア: 単行本
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