芸術新潮 2012年1月号(2011/12/24発売)
ロシア(現リトアニア)生まれのアメリカ人アーティスト、ベン・シャーン(1898-1969)。彼はジャクソン・ポロックやマーク・ロスコらが牽引した抽象表現主義隆盛のアメリカで、20世紀という時代に敢然と向き合い、「社会派」と呼ばれた稀有な芸術家でした。そして、イラストレーター、グラフィック・デザイナーとして、高度成長期の日本のデザイナーたちの心をとことん虜にしました。さまざまな手法で社会と人間を見つめ続けたベン・シャーン。混迷する21世紀の今こそ、このアーティストの筋の通ったセンスと真っ当さが必要なのです!
繊細な線の集積が輪郭を形づくる印象的な《自画像》。
1955年 インク、紙 24.7×15.4cm
The Museum of Modern Art, New York, Given Anonymously, 1956
Estate of Ben Shahn / VAGA, New York & SPDA, Tokyo, 2011
手には「私は久保山愛吉という漁師です」から始まる文章を持つ。
《ラッキードラゴン》 1960年 テンペラ、板に貼られた綿布
214.5×122.0cm 福島県立美術館蔵
Estate of Ben Shahn / VAGA, New York & SPDA, Tokyo, 2011
男の虚ろな表情をクローズアップ。被写体を右端に置いた、奥行き感のあるフレーミングは、偶然か? FSAプロジェクトで訪ねた寂れた炭鉱町、ジンクで撮影された。
《アーカンソー州、ジンクの残り少ない住人の一人》 1935年
ゼラチン・シルヴァー・プリントからの複製
Harvard Art Museums / Fogg Museum, Gift of Bernarda Bryson Shahn
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