メモリースケープ
メモリースケープ「あの頃」を呼び起こす音楽小泉恭子 著音楽は、眠っていた記憶を呼び覚ます。プルーストにおけるマドレーヌのように。それは、人生の「前景」たるお気に入りの曲とは限らない。聞き流していた「後景」の音楽ですら、「あの日、あの時、あの場所」を連れてくる。世代を超えた「スタンダード」より、特定の世代に聴かれた「コモン・ミュージック」のほうが、その傾向は顕著になる。本書は、うたごえバス、フォーク酒場、コミュニティ・ラジオ、映画音楽サークルを訪ね歩き、人生の実りの時を迎えた「ふつうの中高年」への質的調査を通じ、聴覚の個人史と文化的記憶が交わる想起のかたちを明らかにしたフィールドワークである。時間と空間を行き来する想起を「メモリースケープ」という概念で読み解くことで、従来のサウンドスケープ研究を批判的に乗り越え、聴覚文化研究の新しい次元を示す。メディアが画一化してきたノスタルジアへの反証として多様な想起のあり方を提示しながら、高齢化の進行で勢いづくノスタルジア市場に回収されることのない、「住まわれた記憶」が拓くパースペクティヴが立ちあらわれる。みすず書房http://www.msz.co.jp/book/detail/07795.html
- 作者: 小泉 恭子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2013/10/11
- メディア: 単行本
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