3.11を忘れないために。
詩の樹の下で
長田弘 著
「この小さな本のモチーフとなったのは、樹や林、森や山のかさなる風景に囲まれて育った幼少期の記憶だ。」福島に育った詩人にとって、そうした幸福の再確認の書となるべきものだったが、そうはならなかった。「大地震、大津波、そして原発の大事故が、この国の春の日々にすべもなくひろげてしまった、どう言えばいいか、無涯の感じというか、異様な寂寞だった。あたかも個人の死命さえ悲しむことがかなわないほどの。」いま「復興」が求められている。「だが、復興の復の字は、『字統』によれば、死者の霊をよびかえすという意味があり、興の字にも、地霊を興すという意味がある。いまは、この『詩の樹の下で』が、そのような祈りにくわわれることばを伝えられるものとなっていれば、とねがう。」(あとがきより)
今年5月にNHKテレビで朗読された、行方不明の人たちを思う作品「人はじぶんの名を」など、近作39篇からなるFUKUSHIMA REQUIEM。
0 件のコメント:
コメントを投稿