3.11を忘れないために。
被災地を歩きながら考えたこと
五十嵐太郎 著
「被災地をまわりながら、大船渡のリアスホールや石巻の宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)など著名建築家が設計した文化施設が避難所として機能しているのを見て、非常時に建築が発揮した力に勇気づけられる場面もあった。しかし、ビルが横倒しになったらしいという断片的なニュースを聞いて訪れた宮城県の女川町で言葉を失った。8割の建物が被災し、カオスというべき無茶苦茶の風景である。呆然としながら、廃墟になった街を1時間ほど歩くと、だんだんと異常な壊れ方をしているビルの存在に気づく。4階建ての鉄筋コンクリート造や鉄骨のビルがゴロゴロ転がっている。こんなことが本当に起きるのか? わが目を疑った。しかも隣に倒れているのではなく、水の力によってこれほど重い物体が場所を移動していたのだ」
はたして工学で街は救えたのか? 復興はいかにあるべきか? 津波の記憶はどのように語り継ぐべきなのか? 「宮城と岩手の沿岸部を中心に、北は青森、南は千葉まで」各地の被災状況を丹念にたどりつつ、有名建築家や地元建築家の動向、そして福島県南相馬市の仮設住宅地でのみずからの研究室の取り組みなど東日本大震災発生から半年間の推移と展望を綴った渾身のルポルタージュ。図版多数収録。
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