2012/01/26

浮世絵vs.世界のエロス

芸術新潮2月号
浮世絵vs.世界のエロス

※本特集ではエロティックな要素の強い作品を多数紹介しており、本ホームページで紹介する誌面にも、一部に性的描写が含まれております。その点をご理解の上、閲覧していただきますようお願い致します。

歌麿・北斎・清長・春信……あまたの偉大なるエロティック・ペインターを擁する日本は、こと春画に関してはダントツの強豪国。もし春画ワールドカップが開催されるなら、優勝候補の筆頭に挙げられるでしょう。さはさりながら世界は広い。性をめぐる観念や表現は、時代により、ところにより、驚くほど多様であるのも確かです。
この特集では、歌麿の傑作『歌満くら』をはじめ、浮世絵春画の名品珍品をたっぷり御覧に入れつつ、世界各地の性表現を探ります。隣国でありながら日本とは全く異なるエロスへのアプローチを見せる中国春画、性的な儀礼のうちに死の国へ旅立った古代ペルーの貴族たち、抑圧と開放の間でオブセッショナルに揺れるヨーロッパ――世界の性表現を知れば、浮世絵春画の特質もまた明らかになるに違いありません。



[右]花笠文京作、歌川国芳画『枕辺深閨梅(ちんぺんしんけいばい)』より。純愛カップルのいい感じのキスシーンかと思いきや、この啓十郎と阿蓮の二人じつは大変なワルなのでして。
天保9年(1838)
色摺半紙本三冊 浦上満氏蔵

[左]愛の女神ウェヌスが、火と鍛冶の神である夫ウルカヌスの目を盗んで、軍神マルスと密通。怒った夫は、目に見えない鎖の網をベッドに仕掛けて、不倫の現場を押さえる――という、オウィディウス『変身譚』などにある逸話を絵画化している。男神たちの修羅場も知らぬげに、あっはんうっふん状態を維持するこのロココ女(神)につける薬はあるのか。
部分 1754年 油彩、カンヴァス 166×85cm
ロンドン、ウォーレス・コレクション蔵
[コピーライト]By kind permission of the Trustees of the Wallace Collection, London


芸術新潮 2012年 02月号 [雑誌]

芸術新潮 2012年 02月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/01/25
  • メディア: 雑誌

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