眠る鉄道 SLEEPING BEAUTY
丸田 祥三
鉄道廃車体、廃線跡が織りなす、究極の美!
廃車として打ち棄てられた鉄道車両。錆つき、草生す廃線跡。役割を全うして、あるいは志半ばで、命を失い周囲の景色に同化していく彼らの姿は、束の間にだけ現れる、人間と自然の営みが融合した奇跡的なアートである。大地と文明が生み出した森の奥に横たわる、鋼鉄の冷たい肉体――それは、儚く、そして哀しい、2度と目を覚ますことのない「SLEEPING BEAUTY(眠れる森の美女)」と呼ぶにふさわしいものではないだろうか。彼女たちの肢体は、3・11大震災によって、否応なく突き付けられた「人間の生み出した文明と、自然との共存、共生」についても、ある種の視点を示唆するものである。「朽ち果てた夢の超特急」の写真で彗星のように現れた(本作品を収録した『棄景』で日本写真協会新人賞受賞)廃墟写真の第一人者が、満を持して放つ、鉄道廃墟写真の決定版。
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