2013/03/01

二年後。自然と芸術、そしてレクイエム

二年後。自然と芸術、そしてレクイエム
茨城県近代美術館
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/index.html

二年前に起きた東日本大震災以前に、私たちが人間について、自然について考えていたことは、その後の二年間に大幅に再考を求められているのではないか。 それほど、突然おこった大地震は私たちのものの見方に影響を与えていると思われる。本展覧会はそのような視点から企画されたものである。
例えば自然について考える際、人間は陸の上のわずかな場所を、人間が住める場所として選び社会を営んでいるが、その外側に広がる自然界は自然自体のバランスを保つために動き続けているものであり、 時として人間にとっては逃げることができない巨大な破壊力となって迫ってくるということを、現在の私達は肌で感じるようになった。 そのように地震によって影響を受けたものの見方で作品に接すると、すでに見慣れている美術作品であっても、今までは気がつかなかった面、つまり芸術家は自然に向かいあって絵を描いたり、 彫刻を彫ったり、立体作品を作ったり、写真を撮ったりする際に、一般的に捉えられていた人間にとって都合のいい自然への視点によらずに、もっと異なる独自の視点から自然の本質にせまろうとしていたことに 改めて気づかされることになるだろう。
本展覧会では、震災(関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災)に関わる、横山大観や、木村武山、河口龍夫らの作品の他、 橋本平八「石に就て」、楢橋朝子「Jindo, 2009」などのそれぞれの作家が独自の視点で自然の本質を捉えようとした作品により構成し、人間と自然との本当の関係について考える。

茨城県近代美術館
〒310-0851 茨城県水戸市千波町東久保666-1
会期:平成25年2月5日(火) - 3月20日(水・祝)
入場料:一般950(830)円/高大生700(580)円/小中生350(230)円
※( )内は20名以上の団体料金
※毎週土曜日は高校生以下入場無料(学校の春休み期間を除く)
※70歳以上の方および障害者手帳等をご持参の方は無料

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楢橋朝子「Jindo, 2009」
以前から水面から陸を見る写真を撮っていた。水面から陸を見ることにより、何億年もの単位で考えると、一定量が変わらない水に対し陸は動く、ということに気づいていた。 水面すれすれに、ゼリー状の立体物のように写される水は、写真に写った一瞬のみしかその形ではなく、次の瞬間には形を変えていること、つまり水は人間の眼が捉え、認識することが困難なスピードで形をかえる、エネルギーの流れの1つであることを実感させる。 

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